よくわかる!プロテインの副作用(デメリット)とその対策の一般常識
プロテインにはワークアウトと組み合わせる事で筋肉増強効果や、血糖値抑制効果などがあります。
ここをご覧になっている人の中にも、プロテインを愛飲している人は結構いらっしゃるのではないでしょうか。
さて、そんなプロテインですが、副作用が出ると聞いた事がありませんか?
もしくは、それなりの期間飲んできた人で、筋肉や血糖値以外に気になる症状が出ている人はいませんか?
副作用とは本来、薬に対して使う言葉で、栄養補助食品のプロテインには合わない言葉のため、ここでは『デメリット』とします。
言われているデメリットは本当なのか、もし症状として出ている場合の対処法はあるのか、詳しくご説明しましょう。
今回は、市販されているプロテインの中で最もメジャーで飲んでいる人が多い、牛乳が原材料のホエイプロテインについてお話します。
目次
言われているプロテインのデメリットとは
みなさんが聞いた事があるプロテインのデメリットはこのようなものではないでしょうか。
- 太る(脂肪がつく)
- 腹痛、下痢をする
- アレルギー症状が出る
- 体臭が強くなる
- 内臓に負担がかかる
ウワサとして聞いただけではなく、
『あれ・・・これってプロテインが原因なんじゃ・・・』
と思い当たる症状が出ている人もいるでしょう。
では、これらが本当にプロテインのデメリットなのか、ひとつずつ見ていきましょう。
【その1. プロテインを飲むと太る?】
これはよく聞く話ですね。
では、真実はどうなのでしょうか?
その答えは『半分正解』、『半分間違い』です。
どういう事?と思われた人もいるでしょう。
プロテインの主な成分はタンパク質です。
最近のプロテインに含まれている炭水化物(糖質)はかなり少なく、プロテイン100gに含まれる炭水化物は10g程度。
通常、プロテイン1食は20~30gぐらいですから、1食分に含まれている炭水化物は2~3gという事になりますね。
それを1日に2~3回飲んだぐらいでは太る可能性は低いです。
ただし、ジュースなどの糖質が多い飲み物で溶かしている場合は話が違ってきます。
例えば、果汁100%オレンジジュースに含まれる糖質は、100mlあたり約10gですが、コップ1杯分の果汁100%オレンジジュースでプロテインを溶かしたとします。
コップ1杯を200mlとして、果汁100%オレンジジュース200mlに含まれる糖質は20g。
1食分のプロテインに含まれる糖質を3gとすると、果汁100%オレンジジュースで溶かしたプロテインの総糖質量は23gとなります。
それを毎日2~3回飲むとなると、46~69gの糖質をプロテインから摂取する事になるので、太る可能性があります。
もうひとつ、注意しなければいけない事があります。
それは、ウェイトゲイナーという、太るためのプロテインがあるという事。
ウェイトゲイナーの成分は50%以上が糖質なため、間違ってそれを飲んでしまうと太ってしまう可能性がかなり高いです。
◆ プロテインで太らないようにする対処法
プロテインは水で飲むようにしましょう。
今時のメーカーは、水に溶かしても美味しく飲めるように開発しているので、飲みにくいという事はまずないです。
もうひとつ気をつける事、ウェイトゲイナーを間違って購入・摂取しない事です。
【その2. プロテインを飲むと腹痛や下痢を起こす?】
ホエイプロテインの原材料は牛乳です。
ですので、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしたり下痢をしたりする人は、プロテインを飲んでも同じような症状が出ます。
これは、牛乳に含まれる『乳糖』という成分が原因で、この乳糖を分解する酵素が少ないとこのような症状が出るのです。
これを『乳糖不耐症』と言います。
日本人はこの乳糖不耐症の人が多く、結構な人数が牛乳でお腹がゴロゴロします。
腹痛や下痢が起こるという事は、消化吸収が正常に行われていないという事。
プロテインを飲んでも、タンパク質を消化吸収できずに排泄してしまっている可能性が高いです。
『じゃあ乳糖不耐症の人はプロテインを飲んでも意味がないの?』と心配する事はありません。
プロテインの種類を変えれば良いのです。
◆ プロテインを飲むと腹痛や下痢を起こす人の対処法
ホエイプロテインには種類がある事をご存じですか?
市販されているホエイプロテインには、
WPC (Whey Protein Concentrate・コンセントレート)と呼ばれるものとWPI (Whey Protein Isolate・アイソレート)と呼ばれるものがあります。
(他にもありますがメジャーではありませんので割愛します。)
店頭に並んでいるプロテインの大半はWPCで、最もメジャーなホエイプロテインになります。
WPCとWPIの違いは、含まれている成分です。
WPCは、牛乳に近い成分なので乳糖や脂肪や炭水化物なども含まれています。
WPIは、乳糖や脂肪や炭水化物をほとんどカットしてあります。(100%カットしてあるわけじゃありません)
もうお気づきですね。
プロテインを飲むと腹痛や下痢の症状が出る人は、
WPCを飲んでいる可能性が高いので、WPIを飲むと改善される可能性が高いです。
WPCなのかWPIなのかを調べる時は、パッケージに必ず記載されていますので、購入時に注意して見てみてください。
【その3. プロテインを飲むとアレルギー症状が出る?】
上でお話したとおり、ホエイプロテインの原材料は牛乳です。
ですので、乳製品アレルギーを持っている人が飲むとアレルギー症状が出ます。
ホエイプロテイン以外にも、
- 大豆が原材料のソイプロテイン
- 卵が原材料のエッグプロテイン
- 牛肉が原材料のビーフプロテイン
など、様々あります。
当たり前ですが、大豆アレルギー持ちの人はソイプロテインでアレルギー症状が出ますし、卵アレルギー持ちの人はエッグプロテインでアレルギー症状が出ます。
◆ プロテインを飲むとアレルギー症状が出る人の対処法
これは簡単です。
自分がアレルギー症状を起こさない原材料のプロテインをチョイスすれば良いのです。
牛乳アレルギーの人はホエイプロテイン以外のものを、大豆アレルギーの人はソイプロテイン以外のものを、です。
アレルギーは命にも関わるものですので、プロテインの原材料のチェックは必ずしましょう。
【その4. プロテインを飲むと体臭が強くなる?】
ワークアウト中にかく汗。
『汗をかくんだから汗臭くなって当然。でも最近、ワークアウト中じゃなくてもちょっとにおう気がする・・・』
それはもしかしたら、プロテインが原因している可能性があります。
プロテインの成分はタンパク質がメインですが、タンパク質を多く摂取すると、腸内の悪玉菌が増えます。
悪玉菌が増えると悪臭(ガス)が発生し、それが血液に混ざり全身に運ばれ、体臭となって放出されます。
これはプロテインだけに限らず、肉や魚や卵など、タンパク質を多く含む食品全てにも言える事です。
欧米人に体臭が強い人が多いのも、普段の食事からタンパク質を多く摂取しているからです。
◆ プロテインを飲むと体臭が強くなる人の対処法
プロテインで体臭が強くなる原因は、腸内の悪玉菌が増える事だとお話しました。
という事は、腸内環境を整えれば体臭を軽減させる事ができます。
乳酸菌や食物繊維が多く含まれている食品を食べ、毎日意識して腸内環境を整えます。
ヨーグルトやキムチ(塩分の取り過ぎに注意です)を毎日の食事に取り入れ、野菜も意識して食べるようにしてみてください。
【その5. プロテインを飲むと内臓に負担がかかる?】
プロテインを飲むと肝臓や腎臓に負担がかかるという話を聞いた事がありませんか?
この話は最近言われている事ではなく、結構前から言われている事です。
はたして、プロテインは肝臓や腎臓に負担をかけるのでしょうか。
- 肝臓
まず肝臓ですが、肝臓には分解・合成・解毒・代謝などの機能があります。
摂取したタンパク質(プロテイン)は、小腸でアミノ酸に分解・吸収されますが、分解時にアンモニアが発生します。
そのアンモニアは血液で肝臓に運ばれ、無害なもの(尿素)へ変換(解毒)されます。
タンパク質を摂取すればするほど、肝臓はアンモニアを解毒するためにたくさん働かなければいけません。
ですので、プロテインを飲むと肝臓に負担がかかると言われているのですね。
そしてもうひとつ肝臓の働きとして、小腸で吸収されたアミノ酸を体の各器官で使われる形に合成されます。
大量のタンパク質の摂取でこの合成が盛んになるわけですから、肝臓に負担がかかる、というわけです。
- 腎臓
小腸でタンパク質が分解された際に発生したアンモニアは肝臓で無害なものへ変換された後、血液で腎臓に運ばれ、尿となって排泄されます。
ですので、大量のタンパク質を摂取すると、それだけ腎臓が尿を作りだすという事です。
プロテインを飲むと腎臓に負担がかかると言われるのはこのためです。
◆ プロテインで内臓に負担がかからなくするための対処法
肝臓と腎臓に負担がかかるとお話しましたが、健康な人であれば常識の範囲内のプロテインの摂取であれば肝臓と腎臓にそれほど負担がかかるという事はありません。
ただ、必要以上にプロテインを飲んだり、肝臓や腎臓に疾患があったりする人は気をつけた方が良いでしょう。
プロテインは、適切なタイミング・適切な量を飲むようにしましょう。
プロテインは薬ではなく栄養補助食品です
プロテインを『筋肉を大きくする薬』のように思っている人がいるのですが、
プロテインは『タンパク質に特化した栄養補助食品』です。
薬のようなものだからといって、摂取しすぎてしまい
- 『太る(脂肪がつく)』
- 『腹痛、下痢をする』
- 『アレルギー症状が出る』
- 『体臭が強くなる』
- 『内臓に負担がかかる』
という事なのではありません。
どんな食べ物でも、食べ過ぎると栄養が偏り、体が何かしらの変調をきたす可能性があるのと一緒です。
自分に合った量、『適量』を知る事が一番大切なのです。
プロテインのデメリットは回避できるものばかり
ここまでの事をおさらいしてみましょう。
- 『ウェイトゲイナーを飲まない』『プロテインを溶かす飲み物は水』この2つを守れば太る可能性は低い。
- プロテインで腹痛や下痢をおこす人は、WPI(アイソレート)のプロテインを飲む。
- アレルギーをおこさないために、原材料をしっかりチェックする。
- プロテインで体臭が強くなったと感じる人は、乳酸菌や食物繊維で腸内環境を整える。
- プロテインの過剰摂取をしなければ、肝臓・腎臓にほとんど負担はかからない。(疾患がある人は注意)
言われているプロテインのデメリット(今回取り上げたもの)は、条件付きですが大体が本当の事です。
ですが、対処法を実践すれば、ほとんどのデメリットはクリアできます。
体のためにとプロテインを飲んでいるのに、逆にプロテインで体に異変が起こるのは避けたいですよね。
自分に必要なプロテインの種類や量や飲み方を見定め、より良いプロテインライフを送りましょう。